マウスピース歯列矯正をしていた

矯正自体は終わって、随分経過しているのだけど記録の意味も込めて書いておこう。この記事はアフィリエイト記事ではない。

歯列矯正をやっていた。マウスピース矯正、固有名詞としてはインビザラインというやつである。自分ではそれほど歯並びが悪いという認識はなかったのだが、アイルランドに住んでいたときなど欧米人と直接顔を合わせる機会が多かったので彼らのお金のかかった歯を見ていると自分ももうちょっと改善したほうがいいかもしれないと思ったのが動機だった。日本に帰ってきてから生活が落ち着いてから近所の歯科医で歯列矯正をお願いしてみた。その歯科に掛かる前にも別の歯科で定期検診のついでで歯列矯正をやりたいのだがと相談したが「(年齢的にも)困ってないならやらなくていいよ」という感じでスルーされたが、今回のところはインビザラインの認定医がいるだけあってやる気を出してくれた。

インビザラインとは簡単に言うとマウスピースによる歯列矯正である。3Dプリンタで出力されたマウスピースは最短で1週間単位で交換してくことで、一度に大きく動かす必要がないので痛みが少ないというのが売りである。通常の金属等による矯正ではこまめに受診したとしても数週間以上ごとになるので、その分の移動量を一気に力をかけて動かすことになる。歯は通常でも完全に固定されているわけではなく、0.25mmぐらいの余裕があるそうでその範囲内で動かしていくと痛みがないと説明された。実際には1週間でその分の移動が完了しないまま次に進むと痛みはそれなりにあった。

最初は腔内を3Dスキャナで撮影して、その結果に基づき計画を立てる。コンピュータ上のシミュレーションで現在の状態からどのように歯を動かしていくのかを説明してもらえる。私の場合は30週弱で完了する計画だった。

最初の1枚のマウスピースはとりあえずスキャンした結果に基づき作っただけのもの。これをつけて違和感に慣れる必要がある。マウスピースは食事のとき以外は常時つけていることを求められる。24時間のうち20時間ぐらいつけているのが理想だそうだ。もちろん寝ているときもだ。口に何かを入れたまま寝るというのは普段の生活では滅多にやらないため、最初は違和感がすごくて寝付きが悪かった。

その時の仕事はわりと人前で話をする場面があったが、マウスピースをつけたままだとかなり話しづらい。なるべく着けたままで喋るようにしたが、どうしてもというときは外して喋ることもあった。在宅勤務が多い時期だったので、取り外しも問題がなかった。オフィスだと人目があるので大変だろう。

最初のマウスピースで問題なければ、次は歯にアタッチメントという突起を付けてもらう。樹脂製の小さい突起でマウスピースが歯を動かすときの取っ掛かりとなる。どこにどのような形状のアタッチメントを付けるかはシミュレーションで計算されているようだ。アタッチメントの形状もその場で作るのではなく工場で出力されているのを取り付けしているみたい。小さい突起を接着剤で計画通りに設置していく、力がかかりそうな場所なのにちゃんと固定されるのは接着剤が優秀なのだな。1個外れてつけ直してもらったことがあるが、大半は最後まで問題なかった。歯の外側に突起ができるので、口の中を怪我するのではないかと思ったが食事のときなどでも特に支障はなかった。普段はその上からマウスピースを着けるのでそちらの違和感の方が強い。

アタッチメントを付けてからはその部分が凹んだ専用のマウスピースをつけていく。私の場合は全部で30個弱あったのでまずは10週分ほど渡された。各マウスピースは当然カスタムメイドで、それぞれが少しずつ歯を移動させるように専用に出力されたものだ。時系列で並べると歯を移動させていく様子がわかる。 マウスピースは痛みのない範囲で動かすといっても10個分ともなれば数cmは動かせそうだが、実際には回転が絡むので水平移動はそれほど大きくなかった。

食事のときは外して食べるのだけど、飲み物はそのまま飲むことになる。マウスピースは染色しやすいので色の強い飲み物はなるべく飲まないようにと言われていたが、私は面倒なので普通に飲んでいた。案の定微妙に色がついてしまったが、各週のマウスピースは使い捨てなので無視することにした。

一週間で次のマウスピースに切り替えていくので、切り替える曜日を決めてその曜日になったら次のマウスピースを開けて切り替えるというのをひたすら続ける。本当は歯の動きが悪いときには期間を少し伸ばすのが良いらしい。私は早く終わらせたかったので7日間で確実に次に進めていた。その結果、前述の通りときどき歯の痛みは発生した。朝歯がじんわり痛くて目が覚めるということもあった。

規定の枚数を全部使い切ると続きのマウスピースを貰いに行き、同時に検診をする。それを繰り返して半年ちょっとで終了した。 最後にアタッチメントを取り外して保定用のマウスピースを作ってもらう。矯正が終わっても放置しておくと元の状態に徐々に戻ってしまうためである。常時つけておく必要はないが、寝ている間はつけておくように言われる。

歯の移動自体は問題なく進んだが、私は寝ている間に噛みしめる癖があるためマウスピースにより歯が沈み込むという問題があった。マウスピースを着けた状態での沈み込みは奥歯がより強く影響を受ける。そのためマウスピースをしていないときの上下のかみ合わせが前歯のみ当たり、奥歯同士は触れ合わないという形になった。これはよくある症状のようで、前歯のみの保定具も作ってもらった。しばらくはそれを着けていた。この症状はその後慣れてしまったのか普通のマウスピースを着けて寝ても発生しなくなってきた。

すべてが終わってから最初の週に作ったマウスピースを見ると歯並びがぐちゃぐちゃだったことが実感できる。自分では少なくとも前歯に関してはそんなに酷くないと思っていたが、今とは比べ物にならない配列だった。当然そのマウスピースは今はもう着けられない。外からは見えないものの奥歯の並びに問題を感じていたが、そこもかなりマシになった。次はホワイトニングを行う予定である。